2021-01-01から1年間の記事一覧
【70番目のうた】 寂しさに宿を立ち出でて眺むればいづこも同じ秋の夕暮れ 【意訳】 寂しさに家を飛び出してあたりを眺めるとどこも同じ秋の夕暮れだった 【作者 良暹法師】 比叡山の僧侶。 【ご宣託】 この歌は良暹法師が比叡山をおりて、京都の大原に居を…
【69番目のうた】 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は龍田の川の錦なりけり 【意訳】 山風が吹く三室山の紅葉は竜田川の錦だ 【作者 能因法師】 遠江守忠望の子で、藤原長能に歌を学び、歌に集中すべく出家をしました。当時は屏風などに描かれた絶景を見て、歌うこ…
【68番目のうた】 心にもあらでうき世にながらへば 恋しかるべき夜半の月かな 【意訳】 心ならず現世で生きながらえたならば恋しく思い出されるに違いない、この真夜中の月が。 【作者 三条院】 三条天皇。1011年に即位するが、藤原道長が自分の孫を即位…
【67番目のうた】 春の夜の夢ばかりなる手枕にかひなく立たむ名こそ惜しけれ 【意訳】 春の夜の夢にすぎないあなたの腕枕のせいで噂がたったらつまらないわ 【作者 周防内侍】 周防守の娘で代々天皇に女房として仕えました。女房三十六歌仙のひとりで「周防…
【66番目のうた】 もろともにあはれと思へ山桜花より外に知る人もなし 【意訳】 共に愛しく思っておくれ、山桜。私には花より他に知る人もいないのだから。 【作者 前大僧正行尊】 敦明親王の孫で参議従二位源基平の息子です。10歳で父を亡くし12歳で出家、…
【65番目のうた】 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ 【意訳】 恨みに恨んで涙に濡れる袖を干す間もないのにさらにこの恋のおかげで浮き名がたって私の評判が朽ちていっては悔しすぎます。 【作者 相模】 相模の名は最初の夫、大江…
【64番目のうた】 朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木 【意訳】 夜が明けて少しずつ明るく宇治川の川面にかかる朝霧も少しずつ薄らぎやがて川瀬に打ち込まれた網代木が姿を現してきました。 【作者 権中納言定頼 ごんちゅうなごんさだ…