七拾番 寂しさを見つめてみて。
【70番目のうた】
寂しさに宿を立ち出でて眺むれば
いづこも同じ秋の夕暮れ
【意訳】
寂しさに家を飛び出してあたりを眺めると
どこも同じ秋の夕暮れだった
【作者 良暹法師】
比叡山の僧侶。
【ご宣託】
この歌は良暹法師が比叡山をおりて、京都の大原に居をかまえたときの歌です。
若い時は、誰かがそばにいてくれれば孤独は埋まるものだと思っていました。痛みに近いような寂しさが和らぐのではないかと。しかし実際は再び一人になれば、より一層の寂しさや孤独が襲ってきます。一時はそばにいる誰かが鎮痛剤にはなってくれるかもしれませんが、根本的な治療とはならないのです。痛みから逃れるように「孤独」を避けていると今度は誰かといても「寂しさ」を感じるようになってしまいます。
もし「寂しさ」の治療があるとすれば、自分の寂しさをじっと見つめることです。寂しさを感じている自分を認めましょう。寂しいからといって別にあなたは不幸なわけではありません。人は寂しいものです。真の意味で自分に寄り添ってあげられるのは自分だけです。自分を自分で甘やかしてあげましょう。そうしているうちにいつの間にか寂しさは去っていきます。